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江戸時代 アルコール依存の更生と顛末_本文

史料

済口証文本文_アルコール依存の更生と顛末

※無断転載禁止

解読文

原文

乍恐願書ヲ以奉申上/一 当村百姓喜平次儀、前々不埒二付、実体ニも相成候様ニ、御仕置奉受度旨、先達而願上御屋敷様江差上候処、右体御仕置上 御慈悲ヲ以是迄九十日御仲間ニ御召仕被下置有難仕合奉存候

然ル処此節、何ヶ様之不埒儀致候哉、御暇可被下候由、村方江被 仰付恐入奉畏候、依之私共奉願上候儀者、去冬 御屋敷様へ喜平次奉差上候節、委細之儀願書を以奉申上候通り、 御上々様江差上り候上ニ茂右体不埒不相正候程者ニ候ニ付、此以後村方江下置候而も私共取計成兼甚難儀至極仕候間

何卒 御慈悲を以御帳外二而も何様二而も御勘弁上向後村方難儀ニ不相成様ニ御慈悲ヲ以、御取計願上奉候以上>>読み下し文>>文末

現代語訳

お願いの文書をもって恐れながら申し上げ奉ります。当百姓喜平次のことは、前々より不届きに付き、実直になるようお仕置き受けたく、先だってお願いいたしました。

旗本三枝)様へ差上ましたところ、右のようにお仕置きのうえご慈悲をもって、これまで九〇日間、従者にお召し仕え置いてくださり有難く幸せに存じます。ところがこの節、どのような不届きをしましたか、喜平次がお暇を下され、村方へ命じられ恐れ入り畏まります。

これより私どもがお願い申し上げますことは去る、旗本(三枝)様へ喜平次を差し上げました折、詳細のお願いの文書をもって御役人様へ申上げました通りです。右のような不届きを正さないような者なので、これ以後村方へ送られても私どもは取り扱いしかね甚だ迷惑です。

何卒御慈悲をもって人別帳(戸籍)から外してもどのようにも、お許しのうえ今後村方が困らぬよう御慈悲をもってお取り計いお願い申し上げます。以上

解説

旗本が知行所のアルコール依存症者を九〇日間引き取って更生を試みる。まさに旗本と村の親子関係のよい例かと思います。良心的でほっこりしているなあと思ったら、史料の通り挫折。本文中に一、二文字空いている箇所が多々ありますが、これを闕字(けつじ)と言います。

読み下し文

恐れながら願書(ねがいしょ)を以って申上げ奉り候

一(ひとつ)当村百姓喜平次儀、前々より不埒(ふらち)に付き、実体にも相成りそうろうように、御仕置受け奉りたき旨、先達て願上げ御屋敷様へ差上げそうろうところ、右体(みぎてい)御仕置のうえ御慈悲を以ってこれまで九十日御仲間(ちゅうげん)に御召し仕え下し置れ有難き仕合せに存じ奉り候

然るところこの節、何ヶ様(いかよう)の不埒儀致しそうろうや、御暇(おいとま)下されべくそうろうよし、村方へ仰付けられ恐れ入り畏み奉り候、これより私共願上げそうろうぎは去る冬、御屋敷様へ喜平次差上げ奉りそうろうせつ、

委細の儀願書を以って申上げ奉り候通り、御上々様へ差上(あが)りそうろううえにも、右体不埒相正さずそうろうほど者(もの)に候に付き、これ以後村方へ下し置れそうらいても私共取計い成り兼ね、甚難儀至極仕りそうろうあいだ、

何卒御慈悲を以って御帳外にても何様にても御勘弁の上、向後(こうご)村方難儀に相成ずように御慈悲を以って御取計い願上げ奉り候以上

史料情報

  • 表題:乍恐願書を以奉申上候(喜平次帳外願)
  • 年代:寛政10../出所:平山村伊平次、宛名:御地頭所様 御役人衆中様
  • 埼玉県立文書館所蔵 平山家3337
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証文・手形など

奉公人請状:たみ奉公解説森重郎奉公123

済口証文:不義密通アルコール依存・更生と顛末・文末

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