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伊勢暦11

江戸時代の正月行事 伊勢暦からチェックしよう

史料

正月一日~三日の暦注_伊勢暦

※無断転載禁止

解読文

文久二年壬戌・正月一日~三日(青枠)

原文

  • 一日 きのえさる あゆふむ/水/吉書始十方くれニ入/はかため、くらひらき、ひめはしめ、きそはしめ、ゆとのはしめ、こしのりそめ万よし
  • 二日 きのとのとり なる/水/-/●
  • 三日 にほえいぬ おさむ/土/-/馬のりそめ、ふねのりそめ、弓はしめ、あきなひはしめ、すきそめ万よし

現代語訳

一月一日の干支は甲申(きのえさる)、十二直は危(あやぶむ)、納音の五行は水。始(ふみはじめ)は吉。十方暮(じっぽうぐれ)[]に入る。(元旦の行事は)歯固(はがため)、蔵開(くらびらき)、姫始(ひめはじめ)、着衣始(きそはじめ)、湯殿始(ゆどのはじめ)、輿の乗初(こしのりぞめ)で吉。

二日の干支は乙酉(きのとのとり)、十二直は成(なる)、納音の五行は水。黒日(くろび:万事に凶)。

三日の干支は丙戌(にほえいぬ)、十二直は収(おさむ)、納音の五行は土。の乗初(のりそめ)、の乗初、弓始め、商い始め、初(すきそめ)は吉。

解説

暦日の暦注

月建記事の次の行から、暦日(れきじつ:暦の上での一日)の暦注(れきちゅう)の記載が始まります。暦注は、暦に記載される日時・方角の吉凶禍福、禁忌等に関する事項。全体は以下四段に分かれます。

  1. 上段:日付、その日の干支、十二直(じゅうにちょく)。
  2. 二段目:納音の五行
  3. 三段目:特記事項。吉書始、八せんのはしめ(史料では正月末日)など。
  4. 下段:吉事注。●は受死日(じゅしび)のことで、●で示すので俗に黒日(くろび)と言う。最高の悪日で葬送(そうそう)以外は何もしてはいけないとされる。

元旦行事

以上踏まえ、元旦の暦注を見てみましょう。「はかため…こしのりそめ万よし」は、伊勢暦 元旦暦注の決まり文句。元旦の行事六つが記載されます。

  1. 歯固(はがため):正月の三が日に、延命長寿を祈って、鏡大根・瓜・押し鮎・猪・鹿の肉などを食べる行事。歯(よわい)は年齢の意。
  2. 蔵開(くらびらき):商家でその年初めてのを開き、在庫品を改め、家産の増殖を祈る行事。
  3. 姫始(ひめはじめ):正月二日に記載。やわらい飯を食べる、女が洗濯・張物をする、あるいは新年に夫婦交合する日。
  4. 着衣始(きそはじめ):江戸時代、正月に新衣を着始める。
  5. 湯殿始(ゆどのはじめ):新年始めての入浴。
  6. 輿乗り初め(こしのりぞめ):正月に輿に初めて乗る。

補註

十方暮(じっぽうぐれ):甲申~癸巳(六十干支順位表21~30)の十日間。万事うまくいかず、特に婚姻・遠行(えんこう)・相談は凶。史料の年は元旦早々、たまたま甲申にあたる。

参考文献

史料情報

  • 表題:伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年
  • 暦師:山口右兵衛/形態:折本
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家4031
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
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伊勢暦

概要/表題:暦師 年号 干支、シンボル:三鏡宝珠形

上段:八将神、中央:歳徳神金神、下段:土公神大小

月建:月の干支二十八宿と七曜/正月行事・十二直

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