くずし字で楽しむ江戸時代

古文書ネット

  1. HOME
  2. 入門講座
  3. 引札暦

伊勢暦9

月の干支

史料

月建記事_伊勢暦

※無断転載禁止

解読文

文久二年壬戌・月建記事(青枠)上段

正月 大 建壬寅、二月 小 建癸卯、三月 大 建甲辰 >>下段は次頁

読み下し文

正月(しょうがつ)大(だい)壬寅(みずのえとら)を建(おざ)す、二月 小(しょう)癸卯(みずのとう)を建す、三月 大 甲辰(きのえたつ)を建す

現代語訳

正月:大(三〇日)の月、干支は壬寅。二月:小(二九日)の月、干支は癸卯。三月:大の月、干支は甲辰。

月の干支の決まり方

十干

年の十干:正月の十干:翌月~十二月の十干

十二支

月の十二支は十二支早わかり表の通り、正月は寅、二月は卯、三月は辰、四月は巳、五月は午、六月は未、七月は申、八月は酉、九月は戌、一〇月は亥、一一月は子、一二月は丑と固定。

解説

月建(げっけん)記事とは、において毎月の月初めの部分で、一行二段で記載されます。ここにはその月の干支二十八宿と七曜の情報が記されています。

まず月建記事(史料青枠)の上段を見てみましょう。正月上段「正月 大 建壬寅」とあり、「建壬寅」は壬寅を建(おざ)す、と読みます。建すとは方向をさす、の意。

月は大(三〇日)の月干支は壬寅(みずのえとら)という意味です。月の干支は上の表のように定まります。史料は文久二年壬寅の暦なので、年の十干(じっかん)は壬。上記のとおり壬の段をみると、正月の十干は壬とあり史料と一致。以下、二月・癸、三月・甲、四月・乙と、十干の順序に従います

月の十二支は十二支早わかり表の通りで、年によって変化することはないので、正月は毎年寅です。

参考文献

  • 伊東和彦「第三章 暦の内容」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)83-84、88頁

史料情報

  • 表題:伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年
  • 暦師:山口右兵衛/形態:折本
  • 埼玉県立文書館寄託 小室家4031
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

伊勢暦

概要/表題:暦師 年号 干支、シンボル:三鏡宝珠形

上段:八将神、中央:歳徳神金神、下段:土公神大小

月建:月の干支・二十八宿と七曜正月行事十二直

関連記事

歳時記二十四節気と雑節干支のお祭り