解読文
文久二年壬戌・月建記事(青枠)上段
正月 大 建壬寅、二月 小 建癸卯、三月 大 建甲辰 >>下段は次頁
読み下し文
正月(しょうがつ)大(だい)壬寅(みずのえとら)を建(おざ)す、二月 小(しょう)癸卯(みずのとう)を建す、三月 大 甲辰(きのえたつ)を建す
現代語訳
正月:大(三〇日)の月、干支は壬寅。二月:小(二九日)の月、干支は癸卯。三月:大の月、干支は甲辰。
月の干支の決まり方
十干
年の十干:正月の十干:翌月~十二月の十干
- 甲己:丙:→以下、十干の順序
- 乙庚:戊:〃
- 丙辛:庚:〃
- 丁壬:壬:〃
- 戊癸:甲:〃
十二支
月の十二支は十二支早わかり表の通り、正月は寅、二月は卯、三月は辰、四月は巳、五月は午、六月は未、七月は申、八月は酉、九月は戌、一〇月は亥、一一月は子、一二月は丑と固定。
解説
月建(げっけん)記事とは、暦において毎月の月初めの部分で、一行二段で記載されます。ここにはその月の干支と二十八宿と七曜の情報が記されています。
まず月建記事(史料青枠)の上段を見てみましょう。正月上段「正月 大 建壬寅」とあり、「建壬寅」は壬寅を建(おざ)す、と読みます。建すとは方向をさす、の意。
月は大(三〇日)の月、干支は壬寅(みずのえとら)という意味です。月の干支は上の表のように定まります。史料は文久二年壬寅の暦なので、年の十干(じっかん)は壬。上記のとおり壬の段をみると、正月の十干は壬とあり史料と一致。以下、二月・癸、三月・甲、四月・乙と、十干の順序に従います。
月の十二支は十二支早わかり表の通りで、年によって変化することはないので、正月は毎年寅です。
参考文献
- 伊東和彦「第三章 暦の内容」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)83-84、88頁
史料情報
- 表題:伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年
- 暦師:山口右兵衛/形態:折本
- 埼玉県立文書館寄託 小室家4031
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