解読文
文久二年壬戌・月建記事(青枠)下段
上段前頁<< 正月:参宿値月、奎宿木曜値朔日/二月:井宿、胃土よう/三月:鬼宿、昴日よう
読み下し文
- 正月:参宿(しんしゅく)月(つき)に値(あ)う、奎宿(けいしゅく)木曜(もくよう)朔日(ついたち)に値(あ)う
- 二月:井宿(せいしゅく)、胃(い)土(ど)よう
- 三月:鬼宿(きしゅく)、昴(ぼうしゅく)日(にち)よう
現代語訳
- 正月の二十八宿(中国の星座)は参宿。朔日の二十八宿は奎宿、七曜(しちよう)は木曜日。
- 二月の二十八宿は井宿。朔日の二十八宿は胃宿、七曜は土曜日。
- 三月の二十八宿は鬼宿。朔日の二十八宿は昴宿、七曜は日曜日。
二十八宿
- 東方七宿 蒼龍:角・亢・氐・房・心・尾・箕
- 北方七宿 玄武:斗・牛・女・虚・危・室・壁
- 西方七宿 白虎:奎・婁・胃・昴・畢・觜・参
- 南方七宿 朱鳥:井・鬼・柳・星・張・翼・軫
解説
月建(げっけん)記事とは、毎月の月初めの部分で、一行二段で記載されています。下段の内容は、その月の大小と干支と二十八宿(にじゅうはっしゅく)と七曜(しちよう)です。
二十八宿
二十八宿は、簡単に言うと中国式の星占いで、吉凶判断の材料に使用されました。
史料の月の二十八宿は、正月・参宿、二月・井宿、三月・鬼宿とあり、上のリストを見ると順番通りに配当されていることがわかります。リストではわかりやすいように、参宿・井宿・鬼宿を太字で示しました。史料の正月「参宿値月」は、この月(正月)に参宿があたっていることを示すの意。
七曜
七曜は、古代中国の天文学で、日(太陽)と月と五惑星(木・火・土・金・水)を併せたものです。単なる日を数える手段ですが、史料のように二十八宿と結びついて暦に記載されます。しかし七曜に関する迷信は余り重視されなかったようです。
参考文献
史料情報
- 表題:伊勢暦 天保壬寅元暦 文久2年
- 暦師:山口右兵衛/形態:折本
- 埼玉県立文書館寄託 小室家4031
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