解読文
原文
金子請取之事/一 金二㊞両 りた夜着蒲団造料代金、右之金子我等慥ニ請取㊞、妻りた方江無相違相渡し申所実正ニ御座候、為念如此ニ御座候以上/寛政七卯三月/今市村・善兵衛㊞/平山村・覚右衛門様
読み下し文
金子請取りの事/一つ金二両 りた夜着(よぎ)蒲団造り料代金、右の金子我等たしかに請取り、妻りた方へ相違なく相渡し申すところ、実正に御座候、念の為かくのごとくに御座候以上(以下解読文に同じ)
現代語訳
領収書/金二両(およそ150,000円)りたさんの寝間着造りの代金について、我等確かに請取りました。寝間着は妻りたさんへ間違いなく渡しました。念のため、この通り記しました、以上。寛政(江戸後期)七卯三月/今市村 善兵衛㊞/(武州入間郡)平山村(埼玉県入間郡毛呂山町) 覚右衛門様へ
解説
史料は江戸時代の、納品書も兼ねた領収書。覚右衛門は(入間郡)平山村(現 埼玉県毛呂山町)の名主です。
夜着(よぎ)とは、普通の着物のような形で大形のものに厚く綿を入れた夜具(寝具)。それにしても金二両の夜着(寝間着)って…。名主の妻ともなればリッチな生活をしているようです。
金「二」両と「請取」の上の押印は改ざん防止。変体仮名に慣れていないと、覚右衛門の妻の名前「りた」は難読です。里多をくずして「りた」。現行の平仮名「り」は利、「た」は太をくずした字体。蒲団の団は異体字・團をくずした字で勘が働かないと、これまた読みづらいです。
三行目の我等の「我」は家のように見えますが、家等ではおかしいですから、迷ったら意味が通じる方を採用します。
史料情報
- 表題:金子請取之事(りた蒲団代)
- 埼玉県立文書館所蔵 平山家3909
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