解読文
原文
承知仕奉畏候、若被仰渡候趣、相背等閑之致方等も有之外ゟ被為及御聞候得者、一同被召呼御糺明之上、急度御咎被仰付候旨、是又被仰渡逸々承知仕奉畏候、依之為御請私共一同連判一札差上申候所、為後証依而如件
安永六年酉十二月/御知行所 武州男衾郡板井村/百姓代 蔵之介/組頭 元右衛門/名主代 丈助 右文助病気ニ付後見 平十郎/御地頭所様 御役人中様
>>読み下し文
現代語訳
(<<ご命令どおり)承知畏まりました。もしご命令について、背いてなおざりにすることがあり、外よりお聞きになり一同呼び出された際は、糾明のうえ必ずお咎めを受ける旨をことごとく承知させます。これにより御役所様(旗本)のため私ども一同は、連判にて書面を差し上げます。今後のため証文はこの通りです。
安永六年(1777,江戸中期)酉十二月/御知行所 武州男衾郡板井村(埼玉県熊谷市)/百姓代 蔵之介/組頭 元右衛門/名主代 丈助 右文助病気に付き後見 平十郎
解説
当史料の結びの部分です。ご命令に背かぬよう云々、背いた際は云々と繰り返し述べています。当史料に限らず五人組帳などにも見られるのですが、証文において役人への絶対服従アピールは欠かせません。本心から言っているというより、あくまでアピールないし慣習と捉えた方がよいでしょう。
さて、くずし字の解読ですが四行目「咎」、七行目「私」が初見では読めなくて数日かけてようやく埋まりました。当史料の解読は難しいと思うので、古文書初学者の方は現代語訳で江戸時代の治安の様子だけでもざっくり把握していただければと思います。
読み下し文
承知仕り畏み奉り候、もし仰せ渡され候趣き、相背き等閑の致し方等も、これ有るほかより御聞き及ばせられそうらえば、一同召し呼ばれ御糺明の上、きっと御咎仰せ付けられ候旨、これまた仰せ渡され、逸々(いちいち)承知仕り畏み奉り候、これより御請けのため私共一同連判一札差上げ申す候ところ、後証(こうしょう)のため依ってくだんの如し
安永六年酉十二月/御知行所 武州 男衾郡板井村/百姓代・蔵之介/組頭・元右衛門/名主代・丈助 右文助病気に付き後見・平十郎/御地頭所様 御役人中様
史料情報
- 表題:差上申一札之事(首縊人之死骸処理、並ニ変死等ニ付)
- 埼玉県立文書館所蔵 飯島家522
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。