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年貢受取状

史料

年貢受取状

※無断転載禁止

解読文

原文

田畑御年貢受取申事/一米弐斗五升九合四勺六才・此金鐚壱貫拾三文 田方/一㊞鐚六百拾八文・一㊞鐚弐百廿三文 畑方/高三十分

右之通り皆済二而慥二受取申、若し勘定相違仕候て重而仕直し可申候、為念之一札依而如件/宝暦六子年閏十一月廿八日 名主 重兵衛㊞/平兵衛殿

>>読み下し文

現代語訳

田畑の年貢を受取りました。田の年貢は、お米25升9合4勺6才(約40kg)と123文(約12,000円)で納めていただきました。畑の年貢は、鐚618文(約7,500円)を納めていただいたあと、鐚223文(約2,700円)で納めていただきました。田畑の生産高は30分(約450kg)です。

右の通りあなたは完済し確かに受け取りました。もし勘定に間違いがありましたら直しますので申し付けください。念のため書面にて記しました。

宝暦(江戸中期)六十一月廿八日(板井村名主重兵衛/平兵衛殿

解説

年貢は個人でを納めるのではなく村単位で納めます百姓はその年一年田畑を耕し、村の郷蔵に年貢を納め、村が領主に年貢を納めると、は領主から年貢皆済状という領収書をもらいます。

年貢皆済状は様々な文献でよく見ますが、私の勉強不足もあってか、名主が百姓個人に出す文書はこの史料以外、目にしたことがありませんでした。

けだし自分が百姓だとして年貢を完済したならば、名主(納入先)から何らかの文書はもらっておきたいもの。よって史料のような領収書はあってしかるべきでしょう。さて、史料の数字の上の押印改ざん防止です。

年貢を一度に完済するのは難しく、二、三回に分けて納めるのが普通のようです[文献]。

読み下し文

田畑御年貢受取り申す事/一㊞米弐斗五升九合四勺六才・この金鐚壱貫拾三文 田方/一㊞鐚六百拾八文・一㊞鐚弐百廿三文 畑方/高(たか)三十分(ぶ)/右之通り皆済にて慥(たしか)に受取り申し候、若し勘定相違仕り候て重ねて仕り直し申すべく候、念のための一札よってくだんのごとし/宝暦六子(ね)年閏(うるう)十一月廿(にじゅう)八日 名主・重兵衛㊞/平兵衛殿

参考文献

児玉幸多『近世農民生活史』(吉川弘文館、2006)

史料情報

  • 表題:田畑御年貢受取申事
  • 埼玉県立文書館所蔵 飯島家782
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