史料
全体図
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解読文
原文
一 当年御年貢皆済金ニ差詰候ニ付、此森重郎申男慥成者ニ付、我等請人ニ罷立、当年極月ゟ来ル未極月迄、壱年季御奉公ニ差出し、御給金之儀者、金㊞五両ニ相究申候処実正御座候、
然処、金㊞六両身之金立替金給(都)合㊞拾壱両、只今㊞慥ニ借用仕候、尤身之金六両之儀者、相当利分差加へ来未ノ十二月御暇マ之節、元利共無相違急度返金可仕候、貴殿方江少茂御損毛相掛ケ申間敷候事
>>読み下し文
現代語訳
一 今年の年貢の完済に行き詰まり、この森重郎申す男は確かな者ですので、我等が保証人となり、今年の一二月より来年・未一二月まで一年間奉公に差出します。
お給料のことは、金五両(約375,000円)に決まりましたことは確かです。しかし金六両(約450,000円)は前渡し金としていただき、都合一一両(約825,000円)只今確かにお借りしました。
もっとも前渡し金六両のことは、利息を加え、来年・未十二月にお暇の折に元利と共に間違いなく、きっと返金します。貴殿方へ少しも被害をおかけしません。
解説
奉公人請状は文面が比較的長いこともあり、古文書に慣れていない方でないと思いのほか難読だと思います。
然しながら基本的な書式にそって書かれており、前頁の奉公人請状と比較しながら解読してみてください。記述に間違いないこと、あるいは改竄防止として四ヵ所に捺印されています。古文書を読むときは繰り返しになりますが、まず文末の日付・差出人・宛名から解読します。
読み下し文
一 当年御年貢皆済金に差詰め候に付き、この森重郎申す男たしかなる者に付き、我等請人(うけにん)にまかり立ち、当年極月(ごくげつ)より来ル未極月迄、壱年季御奉公に差出し、御給金の儀は、金㊞五両に相究(き)め申す候ところ実正御座候
しかるところ金㊞六両身の金立替金都合㊞拾壱両、只今㊞慥ニ借用仕り候、もっとも身之金六両の儀は、相当利分差加え来る未ノ十二月御いとま之節、元利共相違無く、きっと返金仕るべく候、貴殿方へ少しも御損毛相掛け申すまじく候こと
史料情報
- 表題:奉公人請状之事(森重郎奉公ニ付)
- 年代:寛政5.12./出所:大里郡大麻生村てゑ外2名/宛所:板井村平重郎
- 埼玉県立文書館所蔵 飯島家445
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参考資料
- 桜井由幾「奉公人請状」 『入門 古文書を楽しむ』(竹内書店新社、2000年)187頁
- 嗣永芳照『古文書入門講座』(新人物往来社、1992年)