宗門人別帳とは
概要
宗門人別帳(しゅうもん-にんべつちょう)は、江戸時代、現在の戸籍と住民票を兼ねた役目を果たしていた帳面。宗旨人別帳、宗門御改帳(おあらためちょう)ともいいます。
本来、キリシタンなどを取り締まるための宗門改帳と、人を把握するための人別帳は別ものでしたが、合体して「宗門人別帳」になりました。人の生死、移動はここに記載されることによって確定しました。
記載項目は一般に、檀那寺名、戸主(こしゅ)以下、抱(かかえ)や奉公人を含む家族全員の名や年齢、性別(男女)。逆に檀家にならないと宗門人別帳に記載されませんでした。また年齢は生まれた瞬間、一歳になる数え年です。
様式は諸宗一括の居住地ごと、各宗寺院別の帳面など、全国的に統一されているわけではありませんでした。
作成時期と保管
幕府領を含めた多くの場合、宗門人別帳は毎年三月に前年末の状況をもとに更新され二冊作成。一冊は代官所や奉行所といった領主側へ提出、もう一冊は村に保管。名主(庄屋)は届けがあるごとにこれを訂正したり付箋をつけたりしていき、次の年に再び新しい帳簿を作成します。
領主側は余り残っていませんが、村側は村役人をしていた家に多く残っています。
記載される人
村でつくる宗門人別帳は百姓が記載され、武士ならば別帳化されます。
武蔵国(東京都・埼玉県)の村々に住む、一風変わった職分の八王子千人同心。彼らは宗門人別帳に記載されますが、苗字を記すことは認められていませんでした。千人頭は千人同心たちが苗字を記すことができるように運動。しかし成功せず、その背景には千人同心が苗字を記すことを嫌った村方の抵抗もあったようです。
当サイトでは、上記表紙の宗門人別帳を次項より見ていきます。その際、安政二年(1855)と同六年(1859)を併せて見ることで、時間経過による年齢、名前含む人の変化などが確認できるようにしました。意外に多様でドラマチック?です。
参考文献
- 桜井由幾「宗門人別帳」菅野則子 共著『入門 古文書を楽しむ』(竹内書店新社、2000年)164-169頁
- 菅野則子「宗旨御改帳」前者 監修・三省堂 編集『古文書を読む 基礎コーステキスト』(日本放送協会学園、2003年)44-47頁
- 吉岡孝『八王子千人同心』(同成社、2002年)26頁
史料情報
- 左:武蔵国入間郡平山村宗門人別御改帳:埼玉県立文書館所蔵 平山家1309
- 右:同表題:同館所蔵 平山家1313
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