御用留とは
概要
突然ですが、普段どのように大事な文書やデータを管理していますか。PCあるいはクラウドコンピューティングでどこぞのサーバーに保存されているかもしれません。
さて江戸時代。代官や旗本奉行からお達しの文書が、村の長である名主(農民)に回ってきます。当時コピー機やPCは勿論ありません。名主(あるいはその祐筆)はお達しをひたすら筆で紙に書き留めました。このメモ帳は、御用(公儀の命令)を書き留めるということで「御用留」(ごようどめ)と呼ばれています。
書かれていること
御用留には、公儀の通達を書き写したものから、今日は御用の為どこそこの陣屋(役所)に行ったとか、村の人々に名主として今日はこんなことを申し伝えとか、様々な情報が刻まれています。
当サイトでは、武州多摩郡大沼田新田(東京都小平市)名主・當麻弥左衛門の御用留として、尾張藩鷹場の提灯の取り扱いや八王子千人同心の文書を取り上げています。
まさに御用留は情報の宝庫。江戸時代に関しての研究の成果は、御用留に随分と助けられている場合が多いのです。
目次、ページ番号なし!
がしかし、全ての古文書にも言えることなのですが、目次もページ番号もありません。
しかも御用留は、役目を引き継いだ者が困らないよう、何代にも渡って子々孫々、蔵に保存されている場合が多いです。かくして必然的に文書量が膨大に。読み込むとなると大変な作業と時間を要します。
よって知りたい情報はどこに記載されているのか、見つけるには覚悟を決めて御用留を片っ端から読みこんでいくしかありません。
しかし懸命に御用を書き写した御用留を見た時、真摯に村を守ってきた名主たちの生きた証がひしひしと伝わってきます。見た目きほん非常に地味ですが、まさに古えのロマン。機会がありましたら是非、御用留に触れてみてください。