解説
史料(引札暦)一番上には、右から左に横書きで「明治廿六癸巳歳」とあります。「明治26年癸巳年」という意味。癸己(みずのとみ)は、六十干支順位表で30番目に当たる干支(えと)。
さて史料上、真ん中にある桃を象ったような象形は何でしょうか。
これは、三鏡宝珠形(さんきょうほうじゅがた)と言います。本来は三鏡神の方角等が記されますが、版暦(はんれき)と呼ばれる江戸時代から大流行した印刷した暦には宝珠形が記されるのみです。
宝珠形は略暦の場合、概ね史料と同じく上中央の位置にあります。しかし新暦(太陽暦)を採用した略暦(同・明治二五年)には描かれていません。則ち宝珠形があるかないかで、そのカレンダーが旧暦か新暦、どちらを採用しているのか一目瞭然と言えるでしょう。
参考文献
伊東和彦「第三章 暦の内容」、岡田芳朗「第六章 暦を読む」『暦を知る事典』(東京堂出版、2006年)83、87、204頁
史料情報
- 表題:小川稲荷町 呉服太物類 小島周太郎[引札]
- 明治25年11月/日出版、印刷兼発行者・秋山亦太郎
- 埼玉県立文書館寄託 小室家4827
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引札暦
新暦(太陽暦)
旧暦(太陰暦)
16.旧暦の大小