解読文(青枠内)
原文
- 大さい・みの方:万よし、きをきをきらず
- 大将ぐん・うの方:三年ふさがり
- 大おん・うの方:さんをせず
- さいけう・さるの方:たねまかず
- さいは・ゐの方:わたまし、舟のりせず
- さいけう・たつの方:よめとらず
- わうばん・うしの方:弓はじめよし
- へうび・ひつじの方:大小べんせず、ちくるい求めず
現代語訳
- 太歳(たいさい):巳の方角は万事よし。木を切らない。
- 大将軍(だいしょうぐん):卯の方角は三年塞がり。
- 大陰(だいおん):卯の方角に向かって出産しない。
- 歳刑(さいきょう):申の方角に向かって種をまかない。
- 歳破(さいは):亥の方角に向かって転居や舟のりをしない。
- 載殺(さいせつ):辰の方角に向かって嫁をとらない。
- 黄幡(おうばん):丑の方角に向かって弓始めするのがよい。
- 豹尾(ひょうび):未の方角に向かって大小便しない、家畜を購入しない。
解説
八将神(はっしょうじん)は八将軍とも言い、陰陽道でその年の方位の吉凶をつかさどります。旧暦の版暦(はんれき:印刷した暦)では一般に、年号の隣り、三鏡宝珠形の間、上段に記載があります。
八将神の所在方位は、その年の十二支でこちらの表のように定まります。
史料の一番上には「明治廿六癸巳歳」すなわち「明治26年癸巳年」なので、この年の十二支は「巳(み)」。よって表の巳の行を上から下に見ていくと、当史料記載の方角とピッタリ一致することが確認できると思います。伊勢暦(文久二年)の八将神も併せてチェックしてみてください。
参考文献
史料情報
- 表題:小川稲荷町 呉服太物類 小島周太郎[引札]
- 明治25年11月/日出版、印刷兼発行者・秋山亦太郎
- 埼玉県立文書館寄託 小室家4827
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引札暦
新暦(太陽暦)
旧暦(太陰暦)
16.旧暦の大小