解説
史料(引札暦)の青枠には「あきのかた、としとく、巳午の間万よし」と書いてあります。
「としとく」とは歳徳神のこと。一年の福徳を司る神であり、この方角に向かって事を行えば万事大吉とされます。また歳徳神が来る方位は、明(あき)の方または恵方(えほう)といいます。旧暦の版暦(はんれき:印刷した暦)では一般に、三鏡宝珠形の下に記載があります。
歳徳神の所在方位はその年の十干により変わり、明の方位に示した通りですが、当史料解読用に下に見るべき箇所を下記にピックアップしました。
年の十干:明(あき)の方位
- 戊・癸:南宮丙/巳・午(南南東・真南)の中間
史料一番上に「明治廿六癸巳歳」(明治26年癸巳年)とあり、この年の十干は「癸(みずのと)」。明の方位(歳徳神が来る方位)は「巳・午の中間」すなわち南南東と真南の間ということがわかりました。
それでは史料を確認してみましょう。青枠内「あきのかた、としとく、巳午の間万よし」は「歳徳神の出てくる方位は巳・午の間、(この方角に向かって事を行えば)万事よい」の意となります。定められた歳徳神の所在方位とも一致しました。伊勢暦(文久二年)の歳徳神も併せてチェックしてみてください。
参考文献
史料情報
- 表題:小川稲荷町 呉服太物類 小島周太郎[引札]
- 明治25年11月/日出版、印刷兼発行者・秋山亦太郎
- 埼玉県立文書館寄託 小室家4827
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引札暦
新暦(太陽暦)
旧暦(太陰暦)
16.旧暦の大小