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吉田市右衛門9

水害村も救済

史料

平出_吉田市右衛門文書9 

※無断転載禁止

問題

私(三代 市右衛門)は、残金二〇〇両分の利潤金を、何村にどのように使うと言っていますか。史料から紐解いてみましょう。

解読文

原文(左頁)

百姓取立其段、御地頭所様迄茂御届申上候様可仕候間、右御届斗江御添斗被成下、年毎二/御公儀様江御届御座候様仕度奉存候、残金弐百両分之利潤金ハ日向村江被下置、年々水損困窮之手当二被成下候様仕度、右願之趣御聞済被成下置候ハ、父之存念茂相届、両村潰百姓并極窮之者迄追々取立且又

読み下し文

百姓取立てその段、御地頭所様までも御届申上げそうろうよう仕るべくそうろうあいだ、右御届けばかりへ御添えばかり成しくだされ、年毎に御公儀様へ御届ござそうろうよう、仕りたく存じ奉りそうろう

残金二〇〇両分の利潤金は、日向村へ下し置かれ、年々水損困窮の手当に成し下されそうろうよう仕りたく、右願の趣き御聞き済し成し下し置かれそうらわば、父の存念も相届き、両村潰百姓ならび極窮の者まで追々取立て、かつまた

現代語訳

(<<利潤金を大切に取り扱い、次第に)百姓が救われていきます。このことは御地頭様(地元領主:旗本 植村八郎右衛門)にも御届け申上げますので、右御届けを御計らいいただき、年毎に御公儀様(幕府)へ御届けくださいますようお願いします。

残金二〇〇分の利潤金は、日向村へ与え、年々の水害困窮の手当に使いたいと思います。右願いの趣旨を御聞き届けてくださいましたならば、父の想いも届きます。

(下奈良・四方寺)両村の破産した百姓ならび極窮の者まで次第に生計を立て、その上また…

解説

用語

  • 取立(とりたて):救うこと、ひいきにすること。
  • 候様(そうろうよう):~でありますよう。
  • 聞済(ききすます):聞き届ける、承知する、納得する。

ポイント

  1. 左頁、四行目は行を変えて御公儀様から始まります。目上の者に敬意を払う方法で、平出(へいしゅつ)と言います。
  2. 利潤金の使い方について前頁では下奈良・四方寺村、当頁では日向村について述べています。

史料情報

  • 表題:記録二
  • 年代:文政11.10./出所:吉田市右衛門
  • 埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7
  • 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

吉田市右衛門

1.吉田市右衛門とは 2.文書概要 3.村の由緒 4.父の事業

5.人口減少 6.父の遺言 7.水害の影響 8.幕府へ貸付

9.水害村救済 10.結びの言葉 11.差出人と宛名

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