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吉田市右衛門その4

父のこと

史料 全体図

吉田市右衛門 

※無断転載禁止

問題

Q.私・三代市右衛門のお父さんが始めたことは何でしょう?

解読文 右ページ

父市左衛門義、寛政二戌年御呼出し、関東上酒御試造被 仰付引続出来方茂宜、依之為冥加御初穂酒等御上納仕候節者、御褒美等被下置金御国恩之程、恐入難有奉存候、私村方之儀者、利根川辺ニ而天明三卯年砂降已後者、川床悉高相成候故、度々出水仕水吐無之、数日水溜ニ罷成田畑水腐仕、其上作土等迄も押流殊ニ田畑砂入ニ罷成

読み下し文

父市左衛門義、寛政二戌年お呼出し、関東上酒御試し造り仰付られ、引き続き出来方も宜しく、これより冥加のため御初穂酒等、御上納仕りそうろうせつは、御褒美等金くだし置かれ御国恩のほど、恐れ入り有り難く存じ奉り候

私村方の儀は、利根川辺にて天明三卯年砂降り已後(いご)は、川床ことごとく高相成そうろうゆえ、度々出水仕り、水吐きこれ無く数日水溜にまかりなり田畑水腐仕り、そのうえ作土等までも押し流れ殊に田畑砂入りにまかりなり

現代語訳

父・市左衛門に関しましては、寛政二年に幕府からお呼び出しがあり、関東の上等な酒を試しに作るよう仰付られました。長期に渡って出来方もよかったので、雑税としてその年に最初にできた酒など御上納しました。その折は御褒美などお金を下さいまして、お国の恩のほど恐れ入り有り難いことに存じます。

私の村に関しまして、利根川辺が天明三卯年(浅間山噴火)に砂が降り、以後は川床(川の流れる所の地盤)がことごとく高くなったので、度々出水し、水吐きが無く数日水が溜まり田畑が水腐りました。そのうえ作土等までも押し流れ、とりわけ田畑に砂が入って、

解説

  • 二行目の仰付の前の一字空白は欠字・闕字(けつじ)です。詳しくは男手形その2をご参照ください。
  • 候節者(そうろうせつは)は、「~したそのときは」または「~した場合は」の意味です。
  • 下置(くだしおく)は、「申し渡しておく」または「与えおく」の意味です。

古文書は句読点なし、主語も省略しがちなので、解読するにあたっては自分で適宜句読点をつけ、主語を補う必要があります。また、くずし字解読だけでは意味がまず通じないので現代語訳を作ることをお勧めします。

さて史料では前半はお父さんのお話、後半は私の村(下奈良村)の水害状況についてお話ししています。混乱しないように、本文解読のポイントの表を埋めながら読み進めてみてください。

  

史料情報

  • 表題:記録二
  • 年代:文政11.10./出所:吉田市右衛門
  • 埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7
  • 当サイトは埼玉県立文書館から掲載許可を頂いてます。
  • ※無断転載を禁止します。

吉田市右衛門

1.吉田市右衛門とは/2.文書の概要/3.祖父のこと/4.父のこと/5.村の人口減少/6.父の遺言

7.水害の影響/8.幕府へ貸付/9.水害村も救済/10.結びの言葉/11.差出人と宛名

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