問題
私(三代 市右衛門)は、当該事業の取扱いはどこの陣屋(役所)がよいと言ってますか。史料から紐解いてみましょう。
解読文
原文(右頁)
日向村水損困窮之者、取続相成作方手入等茂行届、右三ヶ村御年貢御上納物等、無滞御上納仕候様、相成候得者、三ヶ村無難ニ相治広大御慈悲与難有仕合奉存候
右御聞済被成下置候ハヽ、右金子千両早速御上納可仕候、何卒可相成御儀ニ御座候ハヽ、岩鼻御陣屋御取扱ニ茂相成候ハヽ、右三ヶ村最寄ニ而一同難有仕合奉存候、格別之御慈悲を以、幾重ニ茂御聞済奉願上候、以上
読み下し文
日向村水損困窮の者、取続相成り作方手入れ等も行届き、右三ヶ村御年貢御上納物等、滞り無く御上納仕りそうろうよう、相成りそうらえば、三ヶ村難無きに相治め広大御慈悲と有難き仕合せ存じ奉り候、
右御聞き済まし成し下され置きそうらわば、右金子千両早速御上納仕るべくそうろう、何卒相成るべく御儀に御座そうらわば、岩鼻御陣屋御取扱いにも相成りそうらわば、右三ヶ村最寄にて一同有難き仕合せ存じ奉りそうろう、格別の御慈悲をもって、幾重にも御聞き済まし願い上げ奉りそうろう、以上
現代語訳
(<<下奈良・四方寺の極窮の者が生計が立ち、その上また)日向村の水害で困窮の者も生計が立ち、作物の出来具合や手入れ等も行届きます。
これにより、右三ヶ村の御年貢・御上納物等は滞り無く御上納できるようになり、三ヶ村困難なく治められるのも(幕府の)広大な御慈悲によるもので有難き幸せに存じます。
右御聞き届け下さいましたならば、右金子一〇〇〇両を早速御上納いたします。何卒達成したい事業なので、岩鼻御陣屋(群馬県高崎市)が御取扱いなれば右三ヶ村の近くなので一同有難き幸せに存じます。
格別の御慈悲をもって重ね重ね御聞き届けお願い申し上げます。以上。
解説
- 取続(とりつづき):生計を立てていく。
- 難有仕合(ありがたきしあわせ):候文の基本且つ頻出用語。意味は現在と同じ。
当頁は本文最後にして、私(三代 市右衛門)の幕府への最後の念押しです。
史料情報
- 表題:記録二
- 年代:文政11.10./出所:吉田市右衛門
- 埼玉県立文書館所蔵 吉田(市)家7
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