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荻生徂徠『政談』7

大名家に国替(移封・転封)を命ずる理由

雲

宙に浮いた雲のような境遇

「今の世の人、百姓より外は武士も商人も故郷と言うものを持たず、宙に浮いた雲のような境遇で哀れなことなり。」

と前置きしてから徂徠は、武士が知行所ではなく城下町に住むようになった理由を『政談』(巻一)語っています。早速見てみましょう。

太閤秀吉の時より始まった所替え

「昔は、大名の家来もそれぞれに知行所を与えて、その知行所に住まわせたのだが、現在は支障が生じる事情がある。

元来、武士も皆、知行所に居たのだけど、太閤秀吉の時より大名に所替え(ところがえ・大名の領地を他に移しかえること)が起こり、そのような時に不便なので、家来皆をそれぞれの城下に集め置いて、今は一様にこのような習わしとなった。

その当時は戦国時代が終わって、平穏になったばかりの頃で、その勢いを弱める手段として計略の一つになっていたのだが、この先、日本国中の武士の人数が減少することは、武士道に於いて宜しくないこと第一である。

天草一揆の時、粗末な小城に百姓一揆が籠り、西国の大名の大軍が数を尽くして攻めたが、これはこの時代から早くも武士の数が減少してしまった証拠である。」

  

政談の現代語訳について

当サイトの政談の現代語訳は、吉川 幸次郎, 丸山 真男, 西田 太一郎, 辻 達也 (著)『日本思想大系〈36〉荻生徂徠 (1973年) 』(岩波書店、1973年)をもとに当サイトの運営者が現代語訳しました。

その際、荻生 徂徠 (著), 尾藤 正英 (翻訳)『荻生徂徠「政談」 (講談社学術文庫) 』(講談社、2013年)も参考にさせていただきました。

荻生徂徠『政談』

1.荻生徂徠とは/2.『政談』とは/3.武士の正規・非正規雇用/4.武士の江戸暮らし/5.武士の貧困

6.江戸の医者/7.国替を命じる理由/8.外様と譜代の違い/9.国の困窮/10.歴史に学ぶ大切さ

11.貧困問題の解決策/12.奇妙な?経済活動/13.スピード社会/14.江戸の物づくり

15.江戸時代の装束/16.上に立つ者の品格/17.代官とは/18.御徒・与力とは/19.人の器とは

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