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荻生徂徠『政談』8

外様大名と譜代大名の違い

外様大名と譜代大名

江戸時代、似て非なる外様と譜代の違いについて荻生徂徠政談』から以下に見てみましょう。

荻生徂徠『政談』巻之一

1.外様に甘く、譜代に厳しい

「今の外様大名(国持大名)所替え(領地の移封)は例無きことで、御譜代大名ばかりに所替えを仰せ付けることは、これまた不公平で宜しからざる事だ[]。

所替えの物入りは凡そ十年の痛手となると昔より申し伝わる。これより昔は所替えには定めて御加増あり。中頃はを下さる。近年その沙汰無き事は幕府にがない故である。外様大名を痛めずして、御譜代大名を痛めること、何の道理か理解し難い。」

2.実質違いなし

「御譜代・外様と云うも今は名ばかりで同じ事。幕府の始めの時分は、外様大名は敵対仕りたる者の子孫なれば、御用心有るものだった。御譜代も武功の者の子供にて、成程その頃迄は差別有るべけれども、今日に至りては何れも親類関係の中に成りて、何れも江戸育ちで、江戸を故郷と思う人である。」

3.奥ゆかしい外様

「全般の様子に、外様大名が奥床しき所があるは、所替えをせず、古き風俗を持ち伝えたる故(ゆえ)のこと。然らばお咎め有っての所替えは例外のこと、今後所替えを停止して、大名家中の武士にも、皆知行を与え、知行所に居住させれば、軍兵の数は昔に返って、日本武道の再興なるべし。大切の事なり。」

  

補註

  • 不公平で宜しからざる…『論語』李氏01「均(ひと)しければ貧しきこと無し」

参考文献

現代語訳について

当頁『政談』は、辻達也 校注「政談」『日本思想大系〈36〉荻生徂徠』(岩波書店、1973年)をもとに当サイト運営者が現代語訳。直訳を心掛けた。

その際、尾藤正英 (翻訳)『荻生徂徠「政談」』(講談社、2013年)も参考にした。

補註について

補註は当サイト独自に平岡武夫『全釈漢文大系 第一巻 論語』(集英社, 1980年 )を参照して附した。

政談 目次

1.荻生徂徠とは 2.『政談』とは 3.武士の正規・非正規 4.武士の暮らし 5.武士の貧困

6.医者 7.国替 8.外様と譜代 9.国の困窮 10.歴史に学ぶ 11.貧困の解決策 12.経済活動

13.スピード社会 14.物づくり 15.衣服 16.品格 17.代官 18.御徒・与力 19.人材登用

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