文語で名著
宮沢賢治、太宰治、夏目漱石など近代文学ファンは多いと思います。しかし近代文学を初版に近い状態、則ち異体字(旧字)と歴史的仮名遣い[註]で読んでいる方は少数派でしょう。
戦後の学校教育がきほん、現代仮名遣いと常用漢字以外は教えてないので無理もありません。国語の教科書はじめ書店に並べられている本の多くも、近代文学を今風の書き方に置き換えました。
こうして「わかり易さ」と「内容」に重点が置かれた結果、本来近代文学が持っていた風味や奥行き、重厚感がかなりそぎ落とされました。私は文学の専門家ではありませんが、それはすごく勿体ないことだ!と昨今、強く感じているところです。
かくして、どれ程勿体ないことになってるかを知ってもらおう!と有難迷惑なことを突然思いついて、創設したのが当コーナー。
当サイトは江戸時代の古文書を中心に扱っていますが、その中には異体字をくずしたもの、歴史的仮名遣いで書かれているものがとても多いです。よって近代文学で先にこれらをマスターするのもアリ…というか(歴史的にも)順番としては正しいように思います。
「わかり易い」は見方によっては、却って人をバカにしている、あるいは作家へのリスペクトに欠ける、などの危険が伴います。難解だから高級とも限りませんが「わかりにくい」文章の面白さや深みを、ここでしばし味わってみてください。
補註
Wordの文章作成において(こんなことをする人もまずいないだろうが)"さう思ふ"とか、"なつてゐたのだ"などと入力しようものなら、自動的に訂正の可能性を示す赤い破線が引かれる、ご「親切」を賜わろう。