原文
北亜米利加(きたあめりか)内 合衆国(がうしうこく)
此国元八ツ国なりしが、後に十三国とし又近代まし加へて、三十二上ノ国とス、又此地国王は、罷にて相続(□うぞく)するにあらず
国中にて才知すぐれし者をゑられ、国の司(つかさ)とし、諸州の大恵けいやくを定め、供和政治(仮名不明)ゆへに共和政治(けうはせいじ)と名づく
府(みやこ)をわしんとんといふ、元よをろんぱ人、此国をひらく、尤風俗(ふうぞく)同じあらず、人物勇壮にして学術(がくじゆつ)を好、法度きびしく、時候(じかう)日本よりすこし寒し、しかし田畑のみのりよし、大ゐに豊(ゆたか)の国なり、日本の東にあたり海上凡五千里
欧羅巴(ようろつは)ノ内帝(てい)国 魯西亜(をろしや)
此国世界第一ノ大国にして、ようろつぱより日本奥えぞの島々につゞゐて国本五十一国にわける、大府(だいふ)をべいとるびゆるといふ
人物勇壮にしてまた軍術(ぐんじゆつ)にたんれんす、近代伯徳禄(へいとる)といふ大将おこりて、民藝に達し、兵威(びようい)甚(はな/\)盛(さかん)なり
西洋(せいよう)の諸国これにくらべる者なし、時候(じこう)東方あしく南方はよし、日本より正北(まつきた)に当り、海上里数大国ゆへ遠近定めがたし
MEMO
史実に即した面白い文章ですが、とても読みづらいです。一応ご参考まで。本文二行目冒頭「相続」の仮名は、さうぞく、と思いますが視覚的にそのように見えず、□うぞく、としました。
史料情報
- 表題:[北亜墨利加ノ内合衆国并欧邏巴ノ内帝国魯西亜]
- 年代:近世
- 埼玉県立文書館収蔵 増田家文書399
- 当サイトは同館から掲載許可を頂いてます。
- ※無断転載を禁止します。
瓦版
黒船来航1・その2/アメリカ・ロシア人1・その2