序
1.辞書
全体像を意識
古文書でわからない字に遭遇した場合、一般的にくずし字辞典を引かれると思います。
ある程度学習が進んだら、くずし字辞典からは離れていった方がいいでしょう。こちらの江戸時代用語を見てください。くずし字って理屈じゃないんですよね。引くより「慣れ」るとか、前に読んだ文章をおさらいする方が理にかなっていると思います。
一方、古文書は現在使われていない漢字や、専門用語がたくさん出てきます。そういった場合はまめまめしく漢和辞典や国語辞典を引きましょう。特に、難解な単語の意味は地元の図書館に行って、日本国語大辞典(小学館)で例文を参照することをオススメします。
ただのアナクロニズムと言われてしまいそうですが、意外にネットよりも図書館の方が、早く且つスッキリ解決することが多いです。点ではなく常に全体像を意識すると、自ずと学ぶ方向性も見えてくると思います。
2.時間
荻生徂徠先生『政談』によれば、現代人よろしく江戸時代の人もせわしない風俗だったようですが、古文書学習に多くの時間を割ける人というのは、いそうでいないのではないでしょうか。
私は古文書だけをやっているという、わけではないのでホント亀の歩みです。逆にいうと、のんびりしている人の方が向いているような気がします。
一方で時間が有り余っていたとしても、一日中古文書だけ読んでいられる集中力はふつう、ないでしょう。個人的には、ちょっと忙しいくらいが却って集中でき、質のいい学習ができているような気がします。
3.仲間
古文書はすぐには読めるようになりませんので、学習のモチベーションが持続する何かを見つけておくといいと思います。
柄にもないことをいうと、教室やサークルなどに通って仲間を作るのも有効です。学びを通して地域に友人知人を作っておくと、ほどよい緊張も生まれ、意外にやる気も出てくるでしょう。逆に言えば、何らかの学びを通さないと地域に友人知人はできにくいと思います。
実のところ、証文など古文書は一人で誤読なしにカンペキに解読できるものでもありません。ということに気付いて、私は生徒に教わることにしました。なぬ!?
4.継続
古文書学習に頭の良し悪し、要領のいい悪い、経歴も全く関係ありません。私が生き証人みたいなもんです。って別に極めたわけでもありませんが。
正直な話、本当にいやになります。わっけわからなすぎて。なので上手に息抜きしながら、古文書と長く付き合うことが大切なのは確か。です。"学問は中途でやめてはいけない。"『荀子』勧学編 第一
古文書概論
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